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AC嫌いが選ぶACの名盤w―その2 スティーヴン・ビショップ [紙ジャケ]

アート・ガーファンクルに楽曲提供をしたのがきっかけでライヴ・ツアーに誘われ、サイモン&ガーファンクルのレパートリーを歌うときはポール・サイモンの代役を果たしたというスティーヴン・ビショップ。

かれの才能や人柄に惹かれてのことだろう、翌76年のデビュー・アルバム『ケアレス』にはギターにエリック・クラプトン、ラリー・カールトン、リー・リトナー、アンドリュー・ゴールド、ジェイ・グレイドンほか、キーボードにはラリー・ネクテル、クレイグ・ダージ、ヴィブラフォンとオルガン、パーカッションにジャズの世界では有名なヴィクター・フェルドマン、ドラムスがジム・ゴードン、ラス・カンケル、コーラスにアート・ガーファンクル、チャカ・カーン、リア・カンケル……といったものすごいメンバーが集まった。

ミスター・ロマンティックと呼ばれたかれの1stと2ndアルバムが紙ジャケで出たのは去年の11月。
例によってまったく知らなかったぼくに、そんなことを教えてくれたのは同僚のタケシくんだった。

「遼さん、スティーヴン・ビショップ知ってます?」
「ああ、ポール・バターフィールド・ブルーズ・バンドでギター弾いてた?」
「それはエルヴィン・ビショップですよ(笑」
「あ、そっかー。そんじゃ知らんわ」
「ちょっとAOR寄りの人なんですけどね、ぼくけっこう好きなんすよ。
紙ジャケが出たので買ったんですけど、もってきましょうか?」
「おー、ありがとう TT」
「一般的には『水色の手帖』のほうが評価が高いんですけど、『ケアレス』もいいので聴いてみてください」

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さっそく貸してもらったCDの1枚めをプレイヤーにセットすると流れてきたのは「オン・アンド・オン」。
アコースティック・ギターとベースのイントロにパーカッションとスティール・ギターがかぶさり、癖のない透明感あふれるヴォーカルが流れ出す。

♪Down in Jamaica
 They got lots of pretty women
 Steal your money
 Then they break your heart

あ、これ聴いたことある…と思う間もなく、ぐわぁあああ~んと胸が熱くなってしまった。
なんていい曲なんだろう。

♪Lonesome Sue, she's in love with ol' Sam
 Take him from the fire into the frying pan

 On and on
 She just keeps on trying
 And she smiles when she feels like crying
 On and on, on and on, on and on

詞の2番では「She」が「He」になり、3番では「I」になる。

♪泣きたいときには笑おうとしてるんだ
 ずっと ずっと ずっと

歌詞にはジャマイカだけじゃなく空に架ける梯子やシナトラが出てきたり、ラテン・パーカッションやマリンバ、全編に流れるコーラスなど、とにかくロマンティックで切ない恋の歌の情感をもりあげる。

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スティーヴンの弾くちょっとマイナーなアコースティック・ギターにストリングがかぶさっていって「もう決してきみを離さない」と切々と歌い上げるM-2「Never Letting Go」、そしてポールの「ジャンク」を思わせるような、ちょっとメランコリックなM-3「Careless」と、このオープニングの3連発はすごい。

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個人的にはクラプトンやジェイ・グレイドンといった名手のギターが活かされてない感じはするけれど、チャートの22位まで上がったM-10「雨の日の恋 Save It for a Rainy Day」やこの曲と並んでチャカのヴォーカルが炸裂するM-7「Little Italy」など、とにかく名曲ぞろいだ。

スティーヴンといっしょにプロデュースしているヘンリー・ルーウィという人は70年代にA&Mでセルジオ・メンデスのレコーティング・エンジニアを務めてきたベテランらしい。

紙ジャケはコーティングのないE式のシングル・スリーヴで、片面に歌詞、片面にスナップ・ショットの載ったインナー・スリーヴがミニチュアで復刻されている。

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さて76年のデビュー・アルバム『ケアレス』と甲乙つけがたいのが2ndアルバム『水色の手帖 Bish』(78)。

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こちらも参加ミューシャンはギターにマイケル・センベロ、レイ・パーカー、スティーヴ・クロッパー、キーボードにデイヴィッド・フォスター、ビル・ペイン、シンセサイザーにグレッグ・フィリンゲインズ、スティーヴ・ポーカロ、ウッド・ベースにジャズ界の重鎮レイ・ブラウン、ストリングス・アレンジはマーティ・ペイチ、コーラスにマイケル・マクドナルド、アート・ガーファンクル、チャカ・カーン、リア・カンケル、ナタリー・コール…というすごい顔ぶれ。

最初聴いたときは『ケアレス』のほうがいいなと思い、だんだん「いや、やっぱり水色の手帖だ」と思うようになって、最近はまた『ケアレス』かな~なんて思ってる(笑。
M-1の短いインストゥルメンタル「If I Only Had A Brain」を経て始まるM-2「Losing Myself in You」がまず名曲。
アコースティック・ギターの弾き語りで始まるイントロから、スティーヴンの透きとおっているのになぜか切ないヴォーカルとメロディで『ケアレス』からの流れを感じさせる幕開けだ。

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D.フォスターの弾く深くてグルーヴのあるピアノで始まるM-3「Looking for the Right One」も美しいメロディとマーティ・ペイチの優雅で壮大なアレンジが風格を感じさせるし、イントロのエレクトリック・ギターの刻みがスプリームスの「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」風のM-4「Everybody Needs Love」もコーラスの掛け合いも楽しい軽快なナンバーに仕上がっている。
いちばんのお気に入りは歌がなければ完全なフュージョンといっていいM-8「Vagabond from Heaven」からM-9「Bish's Hideaway」の流れだ。

曲想もヴァラエティに富んでいるし、アルバムの完成度もこちらのほうが高いんだろうけど、D.フォスター、M.ぺイチ、M.マクドナルドといった人選から俄然AOR色が強くなっているのと、ちょっとビリー・ジョエル風だったりニルソンを想わせたり、ケニー・ランキン風だったり…というところが個人的にはマイナス・ポイントだ。

紙ジャケはコーティングのないE式のゲイトフォールド・ジャケットで、見開きには歌詞とこのアルバムのために結成された?口笛集団"ホイスッリング・ビッシェッツ"の集合写真が載せられている。
メンバーを見ると、映画監督のジョン・ランディス(『ブルース・ブラザース』)、このころはまだ雑誌記者だったかもしれないキャメロン・クロウ(『あのころペニー・レインと』)、レイア姫ことリンダ・ブレアなど、映画関係の人脈も目立っている。

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とりあえずiPodに入れたものの、やっぱりこれは手元に置いておきたいと思って買ってしまった(笑。
少しでもスティーヴンの印税のたしになればうれしいな♪
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MORE

ソングライターとしての才能と同時に映画にチョイ役で出たり(アニマル・ハウス)、メランコリックな部分とユーモア溢れる感性のバランスがとれたアーティストですね。
彼のような70年代に出てきたSSWの殆どが今聴くと色褪せているのですが、彼は別格。
やはり最初の3枚が良い出来ですが、一枚選べと言われたら・・・やはりファーストですね。セカンド以降はオーヴァー・プロデュース(ファーストでもその気配はありますが・・・)なところが、ちょっと耳につきます。
ファーストは最後の曲、"The Same Old Tears On A New Background"(ライヴだそうです)で「私はソングライターです!」と宣言しているところに心意気を感じます。

*この曲、A Girl Called Eddieという女の子がカヴァーしているのですが、これがまた泣けてきます・・・

by MORE (2011-06-06 09:58) 

parlophone

MOREさん、こんばんはー。

>映画にチョイ役で出たり(アニマル・ハウス)

あ、そうだったんですか。
『アニマル・ハウス』はもう20年近く見てないので、今度機会があったら見てみます^^

>セカンド以降はオーヴァー・プロデュース(ファーストでもその気配はありますが・・・)

なるほどオーヴァー・プロデュースね、そういう感じはたしかにします。
ちょっと納得しました(笑。

>"The Same Old Tears On A New Background"(ライヴだそうです)

ライヴだったんですか!
あわてて聴きなおしてみたら、たしかにヴォーカルにしてもアコースティック・ギターにしてもスタジオ録りには感じられない生々しさがありましたが、いわれてみないと気づかない完璧なレベルのテイクですね。

>A Girl Called Eddieという女の子がカヴァーしている

ぜひぜひ聴いてみたいです!

by parlophone (2011-06-07 21:33) 

not a second time

遼さん おはようございます。GOOD BYE GIRLをカバーしているってことで、RUMER買いました。いい感じです。以前のダイアン バーチって感じですね。スティーブン ビショップは1976年には買ってませんが、翌年パーソネルの豪華さに惹かれて買いました。ON AND ON,NEVER LETTING GOなどFirst、Secondに入っている曲はAll Time Favorite Song になっています。2003年にもっとシンプルなアレンジで自分の代表曲をセルフ カバーしたアルバムを出しています。
ワンピースのアビーロードのパクリ(笑)は教えてもらってありがったです。すぐに買いにいきましたが、M Sしかありませんでした。嫁さんが着るそうです(笑)
そうそう、びっくりしたことに7,8年くらい前のバラエティ番組にスティーブン ビショップ(本人)が出てきました。タレントがニューヨークに行って「再ブレイクねらっている人」を占いかなんかで、その方法を教えてあげるという趣旨だったとは思うのですが・・・スティーブンは「最近離婚してあんまりウンが良くないと思うんだ。ぜひ教えてくれ」なんて・・・
by not a second time (2011-06-12 08:38) 

parlophone

not a second timeさん、こんばんはー。

>GOOD BYE GIRLをカバーしているってことで、RUMER買いました。いい感じです

気に入っていただけてよかったです。
ぼくはあまりダイアン・バーチって聴かないんですが、最近はなかなかあんなしっとりしたSSWっていませんよね。

>ON AND ON,NEVER LETTING GOなどFirst、Secondに入っている曲は
>All Time Favorite Song になっています

やはり1stと2ndの2枚はみなさんお気に入りのようですね。
ぼくも今回の紙ジャケを機に聴くことができてよかったです。

>びっくりしたことに7,8年くらい前のバラエティ番組にスティーブン ビショップ(本人)が出てきました

そうだったんですかー。
映画関係の曲なんかをたくさん作っているので、今ごろはビヴァリーヒルズで左団扇かと思ったんですが、
人生そんなに甘くはないんですね~。

>ワンピースのアビーロードのパクリ(笑)は教えてもらってありがったです

Lがなかったのは残念ですね。
でもワンピースなら可愛いから女の人でも全然OKですよねー。
by parlophone (2011-06-13 22:41) 

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