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MASTER TAPEのBOX LABELがおもしろい [BEATLES]

ビートルズのMONO LP BOXに付属しているハード・カヴァーでいちばん興味深かったのがMASTER TAPEを収めた箱に貼られたラベル(以下ボックス・ラベル)だった。
モノラル盤のラベルを見るのはもちろんはじめてだったが、見ようと思ってもなかなか見れるものでもない。

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1982年にMOBILE FIDELITYからリリースされたBOX SET『THE BEATLES - The Collection』では、それぞれのマスターテープのボックス・ラベルがジャケット写真に採用されていた。
もちろんそれはステレオ・ミックスのマスターのもの。
今回の写真はすべてモノ・ミックスのものだから、2つを比べることによっていろいろと発見があった。

まず画像を見ていただこう。

ぼくがもっているゆいいつのBOX SETのジャケット(単品にばらしたものをオークションでゲットしたもの)が『with the beatles』なので、この2つを比べてみよう。
ステレオ・ミックスのボックス・ラベル。

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こちらはモノ・ミックスのボックス・ラベル。

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英国EMIではモノ・マスターに赤の、ステレオ・マスターに青のボックス・ラベルが使われていたようだ。
そして赤のラベルには中央斜めに「ORIGINAL」、青のラベルには「STEREO」と入っている。
さらに赤ラベルには「EQUALISED AND COMPRESSED MONO TAPE」とタイプしてあるだけだが、青ラベルでは「EQUALISED AND COMPRESSED」に加えて「REMIX FROM TWINTRACK TO STEREO」という表記がある。
つまりジョージ・マーティンやジェフ・エメリックが言っていたように、モノ・ミックスが基本で、ステレオはリミックスという位置づけだったことがあらためて確認できる。

中央上部の「MASTER」というロゴの部分に 「ORIGINAL」「LP」と記入してあるところから、この2つのボックス・ラベルが貼られたテープは正真正銘のオリジナル・マスターなのだろう。
もちろんオリジナル・マスターから作られたコピー・マスターという可能性もあるのだが、それを考える手がかりとなる興味深い表記がある。
ステレオ・マスターの右側中央よりやや上に「Date Recorded or Copied」という欄があり、そこに「1.11.63」とある。

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マーク・ルーウィスンの『レコーディング・セッションズ』を読むと、『with』のレコーディングは63年の7月18日から始まり、とちゅうシングル「抱きしめたい c/w ディス・ボーイ」をはさみながら、10月23日まで断続的につづけられ、10月30日にステレオ・ミックスが完成、11月4日にはディスク・カッティングが行われた、とある。

したがってオリジナルのステレオ・マスター・テープが63年の11月1日に作成されたというのは日時的にはぴったりだ。
もしこれらが本物のマスター・テープだとしたら、87年まではコピー・マスター(またはスタンパー)を作るために何度も開封されていたことになる。
うーん、怖ろしい(笑。

ちなみにモービル盤を手に入れたファンのなかには1970年7月29日の欄に「REMIX FROM TWINTRACK TO STEREO」という表記があることから、この時期に新しいステレオ・ミックスが作られたのではないか、と考える人たちもいたようだが、モノ・ミックスのボックス・ラベルと合わせて考えると、単に余白を利用して印字されたものだということがわかる。

左上の欄には「First Sealed」とありステレオ・マスター、モノ・マスターとも「17 FEB 1964」のスタンプが押してあるが、モノのほうはその下の「Opend」「Re-Sealed」の欄にそれぞれ「20 FEB 1964」「2 MAR 1964」とタイプしてある。

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マスター・テープに封をして、次に開けたのが3日後というのはいかにも慌ただしいが、新しいスタンパーを作る必要があったか、あるいはほかの国からマスターを貸してほしいというリクエストがあったのかもしれない。
いずれにしても、おちおち封をしている暇もない、当時のビートルズ人気のようすがうかがい知れる。

また、モノ・マスターの右側下部には「Japan 22 7 81」とある。

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これは明らかに82年1月にリリースされた国内盤モノLPのためにマスター・テープを開けたことを意味している。
日本に送られたのはおそらくコピー・マスターだと思うが、81年に新規に作られた、非常に若いジェネレーションのスタンパーを使ったことはここからも証明されたことになる。

ところで久しぶりにレコード棚からモービル盤を引っ張り出したついでに『with』を聴いてみたのだが、その鮮度の高さにあらためてびっくりした。
2トラックのテープから作られたといっても、ヴォーカルを重ねたり手拍子を入れたりしているわけだから、そのまま2チャンネルのマスターが作られたわけではないのだが、モノ・ミックスよりは1世代若いわけで、ステレオ・ミックスの魅力をあらためて思い知らされることになった。

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コメント 4

may_r

こんにちは

確かにSTEREOミックスはMONOより鮮度が高いと思います。特にPPM、
WTB、RSの左右にVoと演奏が分かれるバージョンはそう感じます。
PPMのB面『P.S.I Love You』、『Baby Its You』のバラードで左から聴こえてくるサイドギターの音色は美しいです。
WTBはシンバルが耳に付きますが、STEREOだと片側からしか聴こえてこないのでMONOほど耳に付きません。また、ジョンが歌う『You Really Got Hold On Me』は生々しいです。
RSは特に低音が伸びていて、MONOより音質的には良いと感じます。
巷ではMONO盤が人気がありますが、SGT、ホワイトなどSTEREOヴァージョンも捨てたものではないと思います。
by may_r (2014-09-23 17:37) 

1966

こんにちは、いつも楽しく拝見しています。
遼さんの文章は読みやすくわかりやすいのでブログは毎日チェックしています。これからもmono盤の率直な感想をお願いします。

質問なんですがモノラル盤はカートリッジもモノラルの物が良いんでしょうか?
雑誌などでステレオカッティングされたモノラルはステレオのカートリッジの方がいいと書いてあったので、今回の再販monoの場合もどうしたらいいのでしょうか?
by 1966 (2014-09-24 21:04) 

parlophone

may_rさん、こんばんはー。

>特にPPM、WTB、RSの左右にVoと演奏が分かれるバージョンはそう感じます

同感です。
ジョージ・マーティンが2トラックのテープの片方に演奏だけ、片方にVoだけを録音したのは、モノ・ミックスを作る際にヴォーカルのレベルを調整しやすいように、という理由からだったそうです。
ですから、それがそのままステレオ2チャンネルになったわけではないにせよ、鮮度は高いことになりますよね。

>WTBはシンバルが耳に付きますが、STEREOだと片側からしか聴こえてこないので
>MONOほど耳に付きません

おっしゃるとおりですね。
ぼくは今回久しぶりにモービル盤を聴いて、そのあたりを実感しました^^

>SGT、ホワイトなどSTEREOヴァージョンも捨てたものではないと思います

ぼくもこの2作品+『マジカル』あたりはStereoヴァージョンも大好きです。
(初めて買ったアルバムが『マジカル』だったので、「Your Mother Should Know」で、ポールのヴォーカルが右、左と移動すると、それだけですごく懐かしくて涙が出そうになる…というのもあるんですけどね…^^;)
by parlophone (2014-09-25 20:51) 

parlophone

1966さん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
管理人の遼(parlophone)です、よろしくお願いします。

>これからもmono盤の率直な感想をお願いします

しばらくはつづけるつもりなので、ご愛読いただけると幸いです^^

>雑誌などでステレオカッティングされたモノラルはステレオのカートリッジの方がいい

これはけっきょく好き嫌いになっちゃうんじゃないか、と思いますね。
今回のカッティングに使われたヘッドはSX-74で、名前のとおり74年に開発されたものです。
もちろんステレオ用のカッター・ヘッドで、それをモノラル仕様にして使っているようです。

カッティング・エンジニアとして有名なケヴィン・グレイは、
1965年以降モノラルのカッティング・ヘッドは作られておらず、当時のヘッドでカッティングしたモノラル盤と最新のステレオ・ヘッドでカッティングしたモノラル盤のあいだに音質の差異はない、という意味のことをいっています。

とすれば、
①モノラル用カートリッジのほうが原理的に余分なノイズを拾わず、またマスキング効果もあって雑味のない純粋なモノラル再生を期待できる
②ステレオ・カートリッジのほうが周波数特性が(上も下も)優れているのでいるので、倍音成分もふくめた豊かな再生音を期待できる
ということになるんじゃないかと思います。

ぼくはモノラル・カートリッジの迫力があって、しかも解像感もしっかり感じられる音が大好きですが、ステレオ・カートリッジで再生してみて、その豊かな音にびっくりしたことがあります(ちなみに今回のリマスター・モノではありません)。

ご参考になるかどうかわかりませんが、もしまだモノラル・カートリッジをお試しになったことがないのだったら、DL-102あたりは安価でもびっくりするぐらいいい音がしますので、ぜひ一度お試しになることをおススメします^^
by parlophone (2014-09-25 21:15) 

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