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グスターボ・ドゥダメルとベネズエラの若きオーケストラ [MORE MUSIC!]

3月だったと思うが、息子の悠から電話がかかってきて
「おとうさん、グスターボ・ドゥダメルって知ってる?」
「ああ、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オヴ・ベネズエラだろ?」
と噛みそうになりながら(笑)いうと
「それそれ。あいつらスゲエよね?」
「うんうん、ほんとすごいよ」
「おとうさん、何聴いた?」
「チャイコの5番」
「ああ、それ! ぼくCD 買った。おとうさん、持ってる?」
「ううん、テレビで観ただけ」
「じゃあ、今度持ってくね」

というので、ゴールデン・ウィークにこっちに帰省したときに持って帰って来てくれたのがこのCD だ。

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ここでドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラについて、CD に添えられた山田真一のライナーノートを参考に簡単に紹介しておくと、ベネズエラには"エル・システマ"と呼ばれる教育システムがある。
その活動は国の政策ともなっていて、簡単にいうと器楽演奏やオーケストラの演奏活動によって青少年を貧困や犯罪、ドラッグといった非行から救い、肯定的な人生を歩ませようとする活動である。
現在、公立の小中学校と連携して全国でオーケストラ活動を展開し、その規模は20万人、200もの青少年オーケストラが活動を行っているという。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラはそのなかから選抜された約200名からなるプロのオーケストラで、ベネズエラ国内はもちろん、海外でも積極的に講演活動を行っている。

音楽監督を務めるグスターボ・ドゥダメルは、1981年生まれというから今年まだ28歳だ。
2004年の第1回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝して世界的に名が知られるようになり、ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団、ニューヨーク・フィル、ドレスデン・シュターツカペレ等々、世界の一流オーケストラで指揮をしている。
さらに今年の秋からはロサンゼルス・フィルの音楽監督に就任することになっている。

さてその演奏だが、昨年の12月に来日したときの公演のようすはテレビで放映されたから、ご覧になった方も多いだろう。
音楽に対する情熱、演奏する喜びが音やしぐさ、表情からあふれ出ているという感じで、とにかく見ていて聴いていて胸が熱くなるような演奏だった。

今回チャイコフスキーの交響曲第5番が収められたこのCD を聴いてぼくはさらにうーんとうなってしてしまった。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラは先に述べたように200名からなる大オーケストラで、ブックレットに記載されたメンバー表(これが記載されることじたいたいへん珍しいと思う)を見ると、第1ヴァイオリンだけで24名、第2ヴァイオリンがさらに24名というように、ふつうのオーケストラの2倍の規模をもっている。

02.jpg

したがってかれら全員が一丸となって演奏するときの迫力というのはたいへんなものだ。
しかもかれらの演奏技術は非常に高いので、そこに乱れがない。
弦も管も粒が揃っていて見事な表情を創り出す。
第4楽章のティンパニの連打に乗って弦楽器や管楽器がフォルテシモで奏でるスピーディなトゥッテイも目くるめくような色彩感にあふれていてまるでジェットコースターに乗っているような快感がある(笑。
第3楽章のワルツはしっとりとしていて典雅といってもいい。

けれどもぼくがいちばん印象的だったのは、第1楽章に満たされた静寂の深さだった。
ご存知のように第1楽章は長い序奏をもち、その冒頭にクラリネットが「運命の動機」と呼ばれる暗い旋律を奏でる。
弦の合奏を伴ってきわめてゆっくりと静寂のなかから姿を現すクラリネットの幽玄な美しさ。
やがて行進曲風の第1主題が、クラリネットとファゴット、弦楽合奏と移ろってゆく、そこにも静寂と哀調のみごとな調和が見られる。
しかもこれがスタジオ録音ではなくライヴというのだから驚く。

いわゆるロシアらしい濃密な浪漫性は希薄だが、さすがドイツ・グラモフォンが専属契約を結んだと納得させられる演奏だった。
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